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房一はどこか鹿爪らしい恭順な面持で、控目にじつくり身体を押へるやうにして上るとうしろ向きになつた猫背の老医師の肩がひよいひよいとまるで爪さきで歩いているやうに彼を奥の方へ導いて行つた。
「そんなことができるもんかねえ」
「時に、お宅は鍵屋の分家の後ださうですな。あすこは大分前から空家になつていたと聞いていましたが」
「やっぱり半之丞の子だったですな。瓜うり二つと言っても好よかったですから。」
その外から見れば屋根と築地塀だけのやうな家の前で、三人の男が立つてしきりと話していた。
「おい、今高間君が来ていたんだよ」
「この人はちっと眠むがってるでな……」
「今日はえらい早いお帰りだね」
徳次は自分のことのやうに熱心に路順を考へた。
「うん」
「へえ、――どうもごていねいなことで――」
が、練吉が駆け登つたのを見ると、先方の男は急に威丈高になつて怒鳴つた。
「ねえ!」